相続:遺言書を見つけたら?(その1)

被相続人が亡くなり,遺品整理などをしているときに,遺言書を見つけたらどうすればよいでしょうか。

遺言には,主に
公正証書遺言:被相続人が公証人役場で公正証書として作成してもらう遺言
自筆証書遺言:被相続人が自筆で作成した遺言
の2種類があります。

自筆証書遺言の場合には,遺言執行の準備段階として,家庭裁判所で遺言書の検認手続(手続については裁判所HP参照)を取ってもらう必要があります。公正証書遺言の場合には,検認手続は不要です。
また,遺言書に封印(封筒に「遺言書」などと書いて口を糊付けしているような場合)には,検認を行うまで開封することもできないことになっています。遺言書と書かれた封筒を見つけた場合,中身が気になっても勝手に開けてはいけないという点には注意が必要です。
このことは知らない方も多いので,自筆証書遺言をする側としても,開封せずに家庭裁判所で検認してもらうことなどとメモ書きを付けておくのが親切かもしれません。
遺言書の検認は,あくまで,相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに,後日,遺言書の内容を書き換えたり遺言書を破棄したりすることを防ぐための手続です。
そのため,検認を経たからと言って,「真に被相続人が書いたものなのか」や「遺言として有効なのか」などの点が確定されるわけではないということにも注意が必要です。

(遺言書の検認)

民法第1004条
1項 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2項 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3項 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
遺言書の検認を経た後どうするかについては次回書きます。
(毛利 圭佑)

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